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7月Fcon 2017: 女性の失敗会議イベントレポート

7月Fcon 2017: 女性の失敗会議イベントレポート


Fconイベントレポート

7月のイベントのテーマは「FCon—女性の失敗会議」ということで、様々な業界の最前線で活躍している5名の女性の方々をお呼びし、「今の時代に働く女性に伝えたい、失敗から学んだこと」をテーマとして、これまでの人生での様々な葛藤や失敗、挫折を共有していただきました。

また、今回のイベントは5月のスピーカーイベントにご登壇いただいた服部結花氏が代表取締役を務めるベンチャーファンド・インクルージョンジャパン株式会社との共同主催となりました。当イベントに込められた思いを服部氏とLean In Tokyo Co-Founderの鈴木に伺いました。


服部氏「バリキャリと呼ばれながら悩みもあった」

最近では「女性活躍」という言葉が広く社会に浸透していますが、皆さんはこの言葉をどう受け取りましたか?自分は正直、「もう十分頑張っているのに。もう疲れる。」と思った。女性に頑張ることを押し付けるのではなく、女性が自分のやりたいことをやることが大切なのではないか。「バリキャリ」と呼ばれるような人間でも、たくさん悩み、たくさん失敗を重ねながら日々を歩んでいる。そのことを女性同士で共有することでお互いを勇気付けたいと考えたのがこのイベントを志したきっかけ。

鈴木「失敗を共有することで、共に頑張る仲間を見つけるきっかけになれば」

Lean Inでは“What would you do if you were not afraid?”という言葉が1つのモットーとなっている。この言葉はLean Inの創始者であるFacebook COO・Sheryl Sandbergの言葉であり、挑戦することを恐れてしまう女性達に向けた言葉だ。どれだけ輝かしいキャリアを歩んできた人も皆悩みを持っており、辛いこともあることを共有することで、一歩踏み出す勇気を与えたい。失敗を共有することで仲間を見つけるきっかけになればという思いがあり、当イベントの開催に至った。


イベントではまずゲストによるライトニングトークセッションを行いました。ゲストとして以下5名の方々にお越しいただきました。

1:野中瑛里子氏 大手通信系企業 事業開発統括 事業開発本部 金融新規事業部

2:唐沢圭氏 住友商事株式会社 人事部人材開発チーム 課長代理

3:田中美和氏 株式会社Waris 代表取締役

4:草野百合子氏 経済産業省 大臣官房政策審議室 室長補佐

5:篠田真貴子氏 株式会社ほぼ日CFO

キャリア、本業以外でのスキルアップ、母親業等、お一人お一人が自分らしく輝く5名の女性達。そんな方々がこれまで外部からのプレッシャーや期待、自分の中での葛藤とどのように向き合い、生き抜いてきたのか、そして同じように悩む女性たちに伝えたいメッセージを伺いました。


野中氏「自分の決定軸は自分で決める」

現在は大手通信系企業で新規事業を担当。前職はメガバンクに一般職として勤務していたが、自分の裁量でもっと色々と取り組んでみたいと思い、転職に至った。

自身のキャリアを振り返った時、最大の失敗だったと思っているのは「他人から評価されるものを自分の決定軸とする」こと、そしてそれを続けてきてしまったこと。自分は大企業に務める父と、専業主婦の母を持つ家庭で育った。そのような環境で直接言葉にして言われずとも、なんとなく両親から「大企業の一般職になって、結婚して幸せになること」への無意識の期待を感じていた。

高校のとき、自身の中では理系に行きたいという気持ちがあったが、理系女性の就職先は少ないと言われていたことに不安を覚え、文転し経済学部へ進学。就職活動の際にもシンクタンクのSE等から内定も得られたが、金融は応用が利くからと銀行を選択。さらに、ずっとバリバリと仕事をしたいと考えていたため総合職を受けたものの、転勤で親元を離れることに対し、両親にストレスや不安を与えるのではという気持ちが振り切れず、選べなかった。入社後に総合職転換すれば良いという気持ちで、アソシエイト職入社となったが、入ってみると、総合職転換への条件やかかる時間は、あまりに長かった。30歳にはマネジャーになりたいと考えていた自分は、地域総合職に転換後も総合職との壁があまりに高く、自身にキャリアが遅くなることを危惧し、やっと転職を決意できた。両親からは多くの反対を受けたが、最終的には、「もっと仕事がしたい、やりたいことを、自分が幸せになるために」という意思で彼らを説得、ついに転職が叶った。

転職先の大手通信企業では入社してすぐに大きな仕事を任され、自分の裁量で色々なことに挑戦できることに非常に大きなやりがいを感じている。そのような経験から、皆様には「周囲の期待を汲み取るのではなく、自分が幸せになる道を自分で探し、きちんと選び取ること」の大切さをお伝えしたい。

 

唐沢氏

自分は日々たくさんの失敗を積み重ねている。自分のキャリアの話をすると、住友商事に入社してから「人が好き」そして「色々な業務に取り組んでみたい」という理由で人事部に入った。以来、14年間人事を務めている。本業以外でも社会保険労務士の資格を取得し、経営大学院も出ており、周りからは「すごいね」と言われることも少なくないが自分としては失敗だらけだと思っている。

グローバルなイメージのある総合商社に勤めているが、実は自分は海外に住んだことが一度もない。一方、他の社員は国際色豊かで自分にコンプレックスを感じていた。それでもひたむきに、一生懸命頑張っていれば認めてもらえるのかなと思っていた。しかし、会社という組織の中ではただ独りよがりに頑張れば良いというものではなく、周りに求められる役割を理解しそれを果たさなければ評価はされない。また、わかってもらえるようにアピールする必要があることを学んだ。

今思えば自分のコンプレックスを克服すべく、留学すればよかったと思う。大学時代もさることながら、社会人になってから掴むことができたチャンスもhesitateしてしまったことが失敗だったと思う。

しかし、その失敗の乗り越え方として、自分は自分らしく、自分の満足のいくように頑張ることが大事だと考えた。グロービス経営大学院の英語のMBAコースを修了し、現在は定期的に社外の人事を集めて勉強会を開催し、ネットワーキングを行っている。そのように自分らしく頑張っていると周りの人のモノサシに惑わされずコンプレックスを乗り越え、自分自身を認めてあげることができ、生き生きしていられると感じられる。

皆さんに伝えたいのは周りからどう評価されるかではなく、自分自身を好きだと胸を張って言えることが大事だということ。明るく、生き生きと自分を表現できることが「女性活躍」なのではないだろうか。現在は10ヶ月の息子がいて、毎日がとても充実している。人事としてのスキルアップを目指し、コーチングの勉強も始めようと思っている。皆さんにも他人からの評価だけに囚われず、自分自身は何になりたいのか、何が好きなのかを追求することで自分の生き方を認め、生き生きとしてほしい。

田中氏

株式会社Waris代表取締役。自分は20代、30代と「自己肯定感の低さ」と格闘してきた。2001年大学卒業後出版社で編集記者になり、日経ウーマンの担当としてずっとやりたいと思っていた仕事に就くことができた。しかし、常に「自分はこの仕事に合っていないんじゃないか」と不安だった。そして2011年に辞職、2012年にWarisを立ち上げた。WarisではProfessional Skillを持った女性にフリーランスとして働けるようにサポートする仕事を行っている。しかし、それでも自分を肯定できない部分があった。結婚もしていないし、子供もいないため、結婚している人の方が優れているのではないかと考えた。でも最近は認めてあげられるようになった。その理由、そして皆さんにお伝えしたいメッセージは3つある。

  1. 自分自身を客観視する力を持つことが必要。「自分ができない」と思っているのは案外自分だけかもしれないということを知り、客観的に自分のできていることを捉えてみることが大切。
  2. 多様な価値観に触れる経験が必要。40代の友人がおり、その方には子供がいない。その方に言われたのは「結婚する」とか「子供がいる」=「幸せ」ではなく、自分の置かれている環境でどうあるかではないかと言われたことにはっとした。同じように、性的マイノリティーの友人と話すと自分の家族観や結婚観がいかに偏ったものであったのかに気が付いた。そうした多様な価値観に触れることで、自分の持っている先入観から脱却することができた
  3. 自分が感じている葛藤や不安を周りとシェアすることが大切。これまでは自分の悩みを打ち明けたら、周囲から自分が否定されるのではないかと怖かった。しかし、ストレスが蓄積した時に自分自身が自分を守ってあげられていないと思うようになった。そこで勇気を持って友人に相談したところ、周囲から共感が得られ、すごく安心した。

このように、自分を認めてあげるには自分を客観視し、様々な価値観や考え方に触れ、周囲に思いを打ち明けることが大切。そうして自己を肯定し、目の前のことに集中し、力一杯バットを振ることが大事。

 

草野氏

現在、経済産業省に勤務して9年目30歳。当イベントのオファーをいただいたとき、自分のこれまでの失敗を振り返ってみたが、実は大きな失敗はそれほど思い付かなかった。しかし、長い目で見ると「大きな失敗をしていない」ということ自体が失敗だったのではないかと考える。

1つ思い付いた大きな失敗は入省7年目だったときのこと。今までは課題を与えられ、その目標に向かってhowを考えることが多かった。しかし、少子化対策の仕事をする時に初めて「これがやりたい!」ということを自ら企画し、初めて打診にいった。しかし、結局試行錯誤は重ねたものの、やりたいと思ったことが形にならなかった。

この失敗から具体的に学んだことは自分のアイディアを持って色々な人に聴きに行けばよかったということ。また、社内で話を通すにも、1対1だけではなくチームを組めばよかったということ。もっとやりたいことを必死になって押し通して、失敗するという経験をしてくればよかったと思った。

また、今回振り返って考えてみると、チャレンジした失敗は、具体的な学びが自分の中に残るが、「失敗していない」という状況は、学びがあまり残らないということも分かった。

「失敗をしていない」という状況は日々の小さな恐れの積み重ねによりチャンスを逃していることだと思う。これまで企画を出すにあたって人からの評価が怖くて出さなかった。自分は小さな恐れの積み重ねで大きなチャンスを得ることを逃してきた。皆さんにお伝えしたいのは︎小さな失敗を恐れないでほしいということ。

篠田氏

現在「ほぼ日」のCFOを務めており、49歳。30歳のとき、アメリカのMBAの夏休みにマッキンゼー東京オフィスでインターンを行い、内定をもらった。インターン後、MBAに復帰するつもりでいたが、「このまま仕事を続けて欲しい」と言われたため、1学期間休学してマッキンゼーで働いた。復学後は同級生からの見る目も変わり、一目置かれる存在となった。後期に単位をとって卒業し再びマッキンゼーに就職。その時、自己肯定感はインフレ状態だった。

しかし4年後、役員に突然呼び出されたと思ったら「あなたにはもうマッキンゼーでの成長ポテンシャルは感じられません」と退職勧告を受けた。青天の霹靂だった。せめて今取り組んでいるプロジェクトは最後まで取り組ませてほしいと打診したが、「会社にはあなたに対するコーチングキャパシティはもうありません」と言われ即刻の退職を示唆された。しかし、このようにして「戦力外」の宣告を受けたことは同僚には勿論のこと、誰にも言えずにいた。その後、ノバルキスとネスレに務めた。

変化が起こったのは2013年、45歳のとき。自己肯定感インフレ状態から15年、マッキンゼーを退職してから11年が経った時。子供を2人産んでいた。退職勧告を受けた当時のマッキンゼー採用マネージャーだった伊賀泰代氏との再会だった。伊賀氏のHPに自身のストーリーを掲載したいと言われた。この時、初めてマッキンゼーを辞めた時の本当の話を世に明かすことができた。伊賀氏には「なぜあの時辞めることになったか、今ならわかるよね?」と言われ、時間が経ったその時には分かった。

PayPalの創業者、ピーター・ティールの言葉に、「人は成功からしか学べない」という言葉がある。失敗経験だけだと人はなぜ失敗したのかわからない。成功してみて初めてその時何が悪かったのか、何をすれば成功するのかがわかる。皆さんには是非失敗をしても、その後の成功に繋げてほしい。


5名の活躍する女性達は皆さま全く違ったストーリーをお持ちでしたが、共通して失敗を乗り越え、失敗のご経験があったからこそ今を生き生きと過ごしていらっしゃるのだと感じました。どれだけ輝かしいキャリアを歩んでこられた方も、たくさん悩み、たくさんのコンプレックスを抱えてこられていました。また、失敗はその時気付かずとも、必ずや転機となり、糧となる。そして悩みは誰かとシェアすることが大切だということがご登壇者たちの一貫したメッセージだったのではないかと思います。

当イベントではライトニングトークセッション後、第二部のWorld Caféセッションにおいて、グループになって各々失敗談を共有しました。笑いあり、共感ありの大盛況なセッションとなりました。当イベントを通して同じように悩み、それでも頑張っている仲間がいることを知り、辛い時、もう一回頑張ってみようかなと思える小さなきっかけになればと願っております。

ご登壇いただいた皆さま、お越しいただいた参加者の皆さま、誠に有難うございました。

(イベントレポート作成:Lean In Tokyoメンバー 小野瀬)

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