あけましておめでとうございます。Lean In Tokyoのウェブサイトを見て頂き、ありがとうございます。
今年も様々なイベントを企画したり、SNSとこのページの更新を続けて参ります。今年度も、何卒宜しくお願い致します。
さて、今回取り上げるのは、Lean Inの創設者であり現在も代表を務めるRachel ThomasがFORTUNEに寄稿した‘Lean In’ Is Misunderstood. Here’s What We Really Stand For.(「『Lean In』は誤解されている 私たちが本当に目指していること」)です。この記事の主な内容は以下の通りです。
私たちのバイブルでもある「Lean In」。著者であるFacebookのCOO・シェリル・サンドバーグ は働く女性に向け、誰かの後について行くのでなく、自己主張できるリーダーになるようメッセージを送ってきました。そして出版から約4年の月日が経過した2017年、シェリルは働く女性を取り巻く状況はまだ改善していないと述べたのです。
2018年12月初旬、ミシェル・オバマは彼女が出版したばかりの著書「Becoming」について語るイベントを行なっていました。元・大統領夫人である彼女はワークアンドライフバランスについて、そして結婚生活を完璧にしながらキャリアを成功させる方法はあるかといったテーマについて語りました。
彼女のコメントを短くまとめると、次のようでした。
「『あなたは全部手に入れることができる』ということは間違っています。同時には出来ないのです。」
「それ(『あなたは全部手に入れることができる』)は嘘です。そして『リーン・イン』するために十分な状況がいつもあるわけではありません。なぜなら、そんな馬鹿げたことはいつもうまくいくわけではないのですから。」
ミシェルのこの発言を受け、Lean Inの創設者であり現・代表Rachel Thomasが記事を発表しました。タイトルは「『Lean In』は誤解されている 私たちが本当に目指していること」
ミシェル・オバマは、女性が「全てを手にする」ことができるというのは嘘で、そしていつも「リーン・イン」するには十分な状況ではないと言いました。恐らく当然のように、彼女のコメントは私たちの組織の活動に対する当てこすりとして報じられました。私たちが彼女の言葉選びに議論する余地がある一方、私たちは彼女の指摘の本質的なところに心から同意します。彼女が言ったように、成功したキャリアと幸せな家庭の両方を手に入れようとする女性は、それがうまくいかないことを次第に理解します。特に、女性が積極的にサポートしてくれるパートナーや環境、待遇の良い仕事、あるいは共働きの親を支援するような公共の取り決めなどなしに、女性が仕事と家事と子育てを自分ですることを期待されているときです。
「あなたのパートナーを本物のパートナーに」がシェリル・サンドバーグ が2010年のTed Talkで挙げた3つの要点の1つで、これが後々彼女の著書「Lean In」の出版へと繋がっていきました。職場で平等を手に入れるには、家庭でも平等を手に入れる必要があると彼女は言いました。彼女は本の8章をこのテーマに充てました。彼女はまた、有給休暇、負担できる範囲の子供ケア、そして柔軟な勤務スケジュールも必要と書いていて、これら全てが「全てを手に入れる」ことを現実に近づけるものと主張していました。
「Lean In」の強みの一つは、このタイトルにあります。非常によく人の心を捉えますし、すぐに流行語の一つになりました。しかしこの強みは弱みでもあるのです。この本が世に出てから6年後、「Lean In」という言葉は様々な場面で使われてきましたが、その一部はシェリルが意味したことからは程遠かったのです。その例として、次のようなものがあります。
「女性たちよ、一生懸命働き、もっと自信を持つことによって、自分の問題を解決しなさい。」
実際のところ、偏見やその他の壁は実際にあり、一生懸命に働くということはそれらを乗り越えるのに十分ではないのです。
「キャリアアップするには、女性は男性のように振る舞う必要がある。」
もちろんシェルは男女不平等な職場をどう変えていけるのかというアドバイスをくれましたが、彼女の広義のメッセージは職場が変わる必要があるということでした。
「成功の極みとは役員室のことだ。」
実際のところ、多くの女性がこのフレーズで惨めな思いをすることを私たちは知っています。「全てを手に入れる」ということについて誤った約束があるということ、それは私たちの素晴らしい元・ファーストレディが批判するに相応しかったのです。シェリルは自身の著作に「恐らく、女性にこれまで直面したもっとも大きな落とし穴とは、この文句を作ったということだった。」と記しました。
Lean Inが何を実際に伝え、どうしてそれが問題となったのかを覚えておくことに価値があります。自身が経験した葛藤をどういうわけか自分のせいにした全ての女性に対して、「それはあなたのせいじゃない」と言っています。この本は、どうして組織のトップにはこんなに少ない女性しかいないのかを説明しました。それは女性たちの欠点によるものでも、組織のトップに立つことが彼女たちにとって不可能な場合が多いからでもありません。この理由は、ジェンダーバイアスについての研究、そして男性が決して経験しないような職場での差別を女性がどう対処しているのかという、共有された裏話に行き着きます。「今、あなたはこのこと(本当の理由)を知っているし、あなたはそれ(女性が葛藤する状況)に対処する十分な準備ができている。意思決定がなされるテーブルに着きましょう。そしてあなたが力を手に入れたら、他の人を阻むバリアを取り除くのを助けるために使ってください。」
Lean Inは全ての人の共感を得たわけではありません。その本のストーリーのほとんどは、シェリルの生活、つまり企業のトップに上り詰めた白人女性の観点に由来するものでした。あなたのメッセージの一部が他の人の経験を考慮していない時、あなたはその人の声に耳を傾け、学び、そして成長しなくてはなりません。シェリルはそうしましたし、この本の後の版で彼女は異なる人種や社会的経済的バックグラウンドを持つ女性のより多くの話を取り込みました。
多くの女性のように、私はLean Inの虜になりました。私が長年経験していたことが突如府に落ちたのです。私とシェリルには同じ年代の子供がいるという共通点がある、それくらいしか私は彼女のことを知りませんでした。彼女はその本をもっと大きな何かに変えたいと私に言いました。私もそこに参加したいと思いました。その後すぐ、私たちはLeanIn.Orgを立ち上げました。私たちは、女性が職場で直面する壁、そして有色人種の女性が抱える大きな賃金格差を強調し同賃金を求めるキャンペーンについての世界でもっとも大規模な研究に取り組んでいます。そして、170カ国の4万以上のLean Inサークルのお陰で、私たちは女性が定期的に集う世界でもっとも大きなコミュニティの一つです。
世界が女性にとってまだ公平でないこと、そして真のジェンダー平等はあらゆるやり方でより良い世界をつくるであろうことは当然のことです。シェリルと私、そして最も重要なことですが、私たちの世界規模のコミュニティがそのゴールに向かって取り組み続けます。これがリーンインすることの本当の定義なのです。
以上がRachelの記事の内容です。アメリカと日本ではそこで生活する人のバックグラウンドや価値観、職場環境などが大きく異なりますが、自分と違う
立場の人々との向き合い方について改めて考えさせられる記事でした。
(執筆: Lean In Tokyo Y.S.)