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Monthly Speaker Event 7月 株式会社プロノバ 代表取締役社長・岡島悦子氏

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Monthly Speaker Event 7月 株式会社プロノバ 代表取締役社長・岡島悦子氏


7月のイベントは株式会社プロノバ 代表取締役社長・岡島悦子様にご登壇いただきました。

複数社の社外取締役も務め、年間200人以上の「経営者のかかりつけ医」であり、リーダー育成のプロである岡島様の心に刺さる痛快なメッセージは多くの来場者を励まし、まさに”Lean In”するきっかけを与えてくださるものでした。

男女雇用機会均等法制定直後、なぜ総合商社に入社されたのですか?

 

めちゃめちゃ勉強させてくれる会社に入ろうという一心で就職活動で多くの企業を巡りました。一番ステキ!!と思える人がたくさんいる会社で働こうと思い、辿り着いたのが三菱商事でした。結局、同期の総合職の中で、女性はたった2人でした。

 

今の時代、優秀な女性が長く働くためにあえて一般職/事務職を選ぶケースがあります。そのような現況どうお考えですか?

 

そもそも現状の総合職と一般職=プロフェッショナルとアシスタントという構造になっています。そのような中で、アシスタント職の男性が出てこない限りマトリクスが埋まらないのです。

 

私自身が携わった関連事例としては、昨年実施された某商社の職掌統合プロジェクトが挙げられます。これまでアシスタント職として勤務していた800人の女性達がプロフェッショナル職に転換することになったため、その準備のためのマインドセット研修、いわば「心のマッサージ」を任されたのです。アシスタント職からプロフェッショナル職に転換するのは、野球部のマネージャーとして入って、はちみつレモンを作るのが得意だった人が、明日からは試合に出て打席に立ってね、と急に言われるようなことで、当然皆さんびっくりしたり、ショックを受けたりします。2年間かけて、アシスタント職800人及び彼女たちの上司150人とワークショップを実施し、皆さんが前向きに変化にチャレンジしたい、と思っていただけるようにマインドセットを行い、転換を支援しました。

 

一つ覚えておいていただきたいのは、いずれ今までのアシスタントの仕事が、AIに取って代わられる日は近いということです。遅かれ早かれそのような時代の流れだからこそ、 AIには出来ないようなプロフェッショナリズムを身につけていかないとアシスタント職自体が代替可能になることを留意していただきたいです。

 

女性が管理職になりたがらないという問題についてはどのようにお考えですか?

100年続く会社を作るダイバーシティ推進のお手伝いとして、これまで経営者や管理職、また、女性社員の方々、合計3万人とワークショップを行ってきました。

 

一つの事例は、私が社外取締役も務める、丸井グループです。小売の現場は夕方や週末が掻き入れどきで、ワーママには働きにくい職場でもあります。ですが、キャリアの幅を広げる仕組みを推進することで、現在では64%の女性社員が「将来は管理職になりたい」と答えるような環境になりました。

 

「管理職になりたい」と思ってもらえるようにした仕組みの一つはジョブローテーションです。キャリアの早いうちに、小売の現場だけでなく、バックオフィスやグループ会社での業務様々な職種を経験することで、ライフイベントが生じたとしても復帰後に柔軟な働き方ができるようになっています。

 

ただし、企業の成長に重要なのは女性社員の人数や、女性管理職比率ではありませんイノベーションを生み、企業成長に寄与するダイバーシティは、属性」が多様であれば良いのではなく、「視点」が多様であることが必要なのです。

今の多くの日本企業の枠組みでは、取締役会で意思決定をしているのは、ほとんどが50代、60代のおじさんたち。そこに多様な視点はありますか?

各経済団体にしても同様です。多様な視点を持たない母集団の中で仮説検証をしても意味がないのです。

 

会社によって必要な多様性の要素・比率は何か、それは固有解なので、それぞれの企業で決めていくことが大切です。今はどの会社でも、意思決定ボードには男性が多いので、これまでの成功モデルの中に含まれてこなかった大きな塊として、まずは「女性」を登用し、母集団に入れていく。性別以外にも多様なバックグラウンドの調合の仮説検証を行い、どのような人がどれくらい居ると最もイノベーションが起きやすいのか、その会社に最適な多様性のレシピを見つけることが大切なのです。

その第一歩として女性管理職比率を増やすことが必要なので、そのためには今までの「あたりまえ」を壊す必要があります。

 

現状は世の中に無数の「無意識のバイアス」があります。例えば、私が伺ったある会社では、役員フロアに女性トイレがありませんでした。伺ってみると、女性秘書の方々は、わざわざ階段で違うフロアへ降りてお化粧室を使っているそうです。でも、女性トイレがないこと自体を、他の男性役員は知らなかったりします。誰も悪気はなく、今まで女性の取締役がいなかったので、女性トイレがないことが当たり前となってしまっているのです。このような「無意識」を壊すことから始めなければいけません。

チャック女子問題

「見た目は女性だけど中身はおじさん」な人のことを「チャック女子」と名付けています。例えば「靴でもお酒が飲めます」みたいな女性です。男女雇用機会均等法世代の女性管理職は、そうやって男性社会に過剰適応することが最も生きやすい道だったのだと思います。でも、そこでの疑問は、「チャック女子」は本当にダイバーシティに寄与しますか?ということ。「視点」がおじさんと同じなら、おじさんでいい。多様な人たちが、「多様な視点のままで」働くことでイノベーションが生まれるのです。

 

管理職になりたくない女性のほとんどは、管理職の仕事があまりわかっていない、ということがあると思います。管理職の役割とは、意思決定をすることです。より大きな権限を持って、自分のやりたいことを実現していく、そのための意思決定ができるのが管理職なのです。それなのに、どこの会社でも管理職が幸せそうじゃないのが問題。だから、「管理職を目指したくない」、という人たちも増えてしまう。管理職の皆さんには、ぜひ不幸自慢はやめていただきたいと思います。

 

また、女性の多くは「インポスターシンドローム」にかかっています。これは何かを達成しても、成功を自分の力によるものだとは考えず、「運がよかった」「周りのおかげ」としてしまうことを指します。

このように自信がないがゆえに、「あなたならできるから」と誰かに言われて背中を押されたい。昇進のオファーも出来れば二回断って、「それでも」と三回目の打診を受けた上で引き受けたい。でも、それでは確実に機会を逃します。最近は上司もパワハラ研修を受けていて、二回も断られたら、それ以上押すのは諦めます。なので、機会を逃さないためにはインポスターシンドロームから解放され、オファーを積極的に受けていかなければならないのです。

 

承認欲求からの解脱

私自身は30代後半でやっと承認欲求から解放されました。ビジネススクールから帰ってきて、マッキンゼーに転職し、人から「すごいね」と言われること以外に、自分がやりたいことがはっきりしていなかったのだと思います

WILL・CAN・MUSTで言えば、WILLが見つかっていませんでした。

しかし、マッキンゼーをやめて、グロービスの子会社の社長になると、そこでは意思決定をする立場になりました。意思決定をすると、どちらに転んでも、日陰と日向ができます。全員から好かれることは無理で、「嫌われる勇気」が必要、と実感しました。

プライベートでは、ちょうどそのころ、結婚をしました。我が家は、ラブラブなロマンス婚というよりは、いわば「ジョイントベンチャー婚」のような、パートナーシップとしての結婚です。夫は自分にとってメンター的な存在でもあります。安心できる、最強の味方がいるという心のベースキャンプができたこと、承認欲求からの解脱のきっかけでした。

世の中には承認欲求に呪縛がある人は多いのではないでしょうか?会社の中でも「すごいよね」と言われることが心地よいのでは。でも「すごい」と言われることを求めてばかりだと、自分が本当にやりたいことが見えなくなってしまいます

仲良しで、とても優秀だったから東大の理三に入り医者になった友人がいます。しかし、お医者様になってみたら血が嫌いだったことに気がついたそうです。その人は今は皮膚科医として幸せな人生を歩んでいますが、そうやって自分の好き嫌いが見えないと、仕事選びでも思わぬ回り道をすることになります。

人生100年時代、職業寿命は60年です。私は36歳のころに、「好きなことを仕事にしないと、この先は辛い」ということに気がつきました。

バリバリ働きたいという女性=イタイと見られるので控えめなフリをすることがあります。そのような状況下でも自分を信じて頑張るためのモチベーションはどのように保てばいいでしょうか?

それってテスト前に「全然勉強してません」っていうのと一緒ですよね。

 

自分を信じるには、未来の自分の可能性を信じること、「自己効力感」が大切です。「やったことがないから自信がありません」はなし。私はスポーツ業界のお手伝いもしているのですが、サッカー日本代表の本田選手も香川選手もW杯世界3位のベルギーに立ちはだかっても常に「俺達ならできるかも」「俺ならできるかも」と本気で思って臨んでいました。

 

自己効力感を上げるためには、簡単に言うと、今までの経験を振り返って内省すること、周りの人ができているのを見て、「自分もできるかも」と思うこと、また、「あなたならできるよ」と言葉に出して励まされることが有効、と言われています。

 

好きなこと探し、どこまで探って決めたらいいのか?

正解があると思わないほうがいいです。

これからは、人間が苦手なことはAIが代わりにやってくれるという、いい時代に生まれました。その時代の中で、最後に人間が何をするか?は、「強み」で戦う、ということです。強みの掛け算が大切なのです。

「英語ができます」という人は死ぬほどいる。「英語力」という強みに、「マーケティングができます」といったように強みを掛け算していく必要があります。

 

配置や抜擢を決める人事は、いわば脳内検索」です。何かのポジションに適した人が探されるとき、他人に脳内で想起される自分のタグは何なのか?想起されるには、自分の強み(タグ)を持ち、それを掛け算にすることで、人と異なる自分だけの付加価値を明確にして、周囲に認知してもらうことが大事です。

 

理想のパートナーの見つけ方は?

まず「結婚する」と「恋愛する」を分けなくてはいけません。

私自身は、子供を一緒に育てる家族ユニット、ソウルメイト、という観点でパートナーを選びました。

理想のパートナーが見つからない人は、パートナーに何を求めているかがはっきりしていないのが原因ではないでしょうか。一緒に暮らす相手が欲しいのか?お互い自立していて経済的に助け合える人がいいのか?女性として扱ってくれる人がいいのか?

 

リンダ グラットン、アンドリュー スコットの『ライフ・シフト』を読むと分かりますが、20代で結婚したパートナーと同じ価値観で歳を重ね続けられるとは限りません。同じように昇華できたら最高ですが、価値観が異なっても同じ時間を過ごし、一緒に暮らしていくのは、相当好き同士でないと難しい。それだけ好きな人を探し続けるのは私には無理です(笑)。あまりに難しく考えすぎず、固定概念にしばられず、「何が自分にとって幸せか」「自分はパートナーに何を求めるのか」を自分なりに定義していくことが大切なのではないでしょうか。

 

■LEAN INするためのメッセージ

自分にとって「働く」とは、「幸せ」とは何なのか?

VUCAの時代と呼ばれる現代にわかっていることは一つだけ。変化は必ず起きるということです。

人の寿命、しかも、健康寿命はどんどん伸びています。長い一生の中で、変化を恐れずにすむように、自分の幸せの軸、「自らの所以」を考えていっていただきたいです。

 

私という人間の役割はなんなのか。やりきった人生だったと思えるかどうか。

自分の幸せを生き抜くためにもお伝えしたいのは「Unleash yourself」ということです。自分を呪縛から開放し、人生の主導権を自分が握る「自由」を獲得することが大切です。自己受容をし、苦手なところや弱いところは、他の人と組んで補っていけば良いと思います。

 

自分の「好き」を見つけ、自分なりの「幸せ」を定義するために、

とにかく打席に立ち続けて欲しいと思います

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