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【オススメ本】働き方の男女不平等 理論と実証分析

【オススメ本】働き方の男女不平等 理論と実証分析


女性活用は”女性のため”のものだと思っていませんか?実はビジネスそのものに良い効果をもたらすことを、皆さんご存知でしょうか?

今回は企業の女性活用にまつわる事実を学術的に示したパワフルな本をご紹介します。

 


働き方の男女不平等 理論と実証分析

山口一男(著)

 

第6章にて“女性の管理職登用機会の大きい企業ほど生産性・競争力が高い”ことが明らかにされているのはもちろんのこと、”なぜ未だ女性活用が日本で進まないのか?”について、統計的なデータをもとに様々な考察がなされています。

個人的に新しい発見がたくさんありましたので、いくつか抜粋してみました。きっと皆様にとっても驚きの事実があるのではないかと思います。

 

 

女性人材活用の進みやすさ

川口(2008)は会社主権(あるいはステークホールダー主権)型の企業に比べ、株主主権型の企業では女性の人材活用がより進んでいることを示した。

p21

 

統計的差別

アメリカのワークライフ政策研究所による日米の女性離職者の離職理由の比較では、「仕事への不満(日本63%,アメリカ25%)」と「キャリアの行き詰まり (日本49%、アメリカ16%)」という離職理由で日本女性がアメリカの女性を大きく上回り、他方「育児(日本32%、アメリカ74%)」という離職理由はアメリカの女性がかえって日本女性を大きく上回ることを示した。また大沢(2015) も、女性の離職理由が「結婚理由」から「仕事理由」へと戦後歴史的に変化したことを実証している。

日本女性の高い育児離職率は、育児が離職のきっかけになることを示すにすぎず、差別される結果としての仕事への不満感や行き詰まり感が離職の背景にある。したがって統計的差別は、一種の予言の自己成就(辞めると考えて企業が差別するから、実際に辞めることになる)の面が大きい。

p34

 

男女賃金格差が最も大きいのは高卒者

「説明されない男女格差」について、本章は学歴間で大きな差があることを示した。大卒と専修学校卒では人的資本の男女差に加え、職階差がなくなれば、男女賃金格差の大部分が取り除かれるのに対し、短大·高専卒や高卒者、とりわけ高卒者の間では、人的資本と職階が男性と同じになっても、大きな賃金格差が残る。最もいわれなき性差別を受けているのは高卒女性と言えよう。

p141

 

GEO(Gender Equality of Opportunity)方針の有無

*GEO方針とは「性別にかかわりなく、社員の能力発揮を推進すること」を重視する方針を指す。

WLB(ワークライフバランス)施策は「両刃の剣」である。GEO方針の下では、WLB施策は女性の賃金をさらに増大させ、男女賃金格差をより大きく減少させるが、GEO方針が無いと、WLB施策は女性の賃金を増大させないばかりか、男女賃金格差をかえって増大させてしまう。GEO方針が無いとWLB施策が男女賃金格差をかえって増大させてしまうのは、人材活用を考えないWLB施策が賃金の低い、いわゆる「マミートラック」の女性正社員を多数生み出してしまうことによると考えられる。

一方、勤務地限定正社員制度は「両刃の剣」ではなく、制度の有効性はGEO方針の存在に依存するが、男女の賃金格差解消にマイナスの影響を与えることはない。

p168

 

男女賃金格差是正の本質

「同一労働同一賃金」の実現を男女賃金格差や正規·非正規雇用者間の賃金格差の是正に有効とみて1つの指針としているようであるが、筆者は本書の分析結果より、問題の1つはむしろ「同一労働」、あるいは同一の職を得る機会が男女で同等でなく、その結果ホワイトカラーの女性が一般事務職や特定の専門職に大きく偏っていることであると考えている。同じ労働なら同じ賃金を与えよという前に、男性と「同じ労働」をする機会が女性に与えられていないことがまず問題でその改善が急務なのである。

p266

 

これらの事実に基づき、著者が提示している施策も興味深いです。ぜひ原本をご覧になってみて下さいね!

 

Lean In Tokyo 高尾

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